「一流のものに触れよ」というコトバ。詩人ゲーテが残したメッセージや、自己啓発や自己投資のキーワードでも一度は聞いたことがあると思います。
これって音楽はもちろん、絵画、スポーツ、ビジネスなど、全てのことにあてはまる「自分の引き出しを底上げする行動」だと思っています。
引き出しを底上げするって?
見たことがないもの、食べたことのないもの、触ったことのないもの、聞いたことがないもの …
実際に触れて、感じて、体験したこと以外のことを表現するのは、かなり難しいです。基本は自分が体験したこと、聴いたこと、見たことを引き出しに貯め、そこから自分なりのメッセージとして表現すると思います。
ということは…
一流のものに触れている人は、一流のものから得た体験に基づいた表現ができる可能性が高まる。のではないでしょうか。
「何か違う。上手いけど良くないネ。」と言われた経験から
昔々あるところに、幼少からドラムを叩き、天性の才能を開花させ、爆発的なテクニックを身につけていたドラマーがいました。そのドラマーは「俺に叩け無いフレーズはない。超上手いぜ!」と自信満々でした。
ある日、バンドで知り合ったSaxプレイヤー(ロサンゼルスで生まれ育ったハーフ)とセッションをした時、「お、兄ちゃん上手いね!でも、全然良くない。ツマラナイヨ〜。」と言われました。しかもセッション開始直後に。。。
セッションでは、曲の盛り上げに「よし、手数爆発のスーパーフィル連発だぜ!」と大ハッスルするも、「なんか違うネン。盛り上がっとる感じだけど、気持ちが盛り上がらナイヨ〜。」とツマラナイのダメ押し。最終的には「8ビートが8ビートじゃないネ。」と根底からツマラナイ宣言されてしまいました。
自信満々だったドラマーは「え、マジで?!そんなことあるかい!」と反発しそうになったが、そのSaxプレイヤーの奏でる音楽が本当に素晴らしかったのです!フレーズ、音色、全てのプレイに感動がありました。
正直「まじで、こんな演奏できる人間がいるのか…」と一緒にセッションしながら感動しました。まさに上手いではなく「いい演奏」だったのです。
これが世界だ!(by 松岡修造)
そのSaxマンはロサンゼルスに住んでいたので、とにかく名プレイヤーの演奏を見て・聴いて・体験して育っていたのです。そう!「一流のものに触れる」という環境にいたのです!
そのドラマーはセッションで何を感じたか、それは「蓄積しているモノの質・レベルが違いすぎるじゃねーか!」です。そうなんです引き出しの中身が全然違う!いわゆる「これが世界だ!(by 松岡修造)」の瞬間でした。
その時、ドラマーが渡米を決意したのは言うまでもありません。
後日談
ロサンゼルスでひたすら一流のライブを見ました。ゲイリー・ノバック、サイモン・フィリップス、デニス・チェンバース、デイブ・ウェックル、トム・ブレックライン、トス・パノス、スティーブ・スミス、マーヴィン・”スミッティ”・スミスなどなど。
ドラマー以外でも、スティング、スティーブ・ヴァイ、マイケル・ランドゥ、ディーン・ブラウン、マイク・スターン、ジミー・ジョンソン、スティーブ・ルカサー、ロベン・フォード、デヴィッド・ガーフィールドなどなどなどなど…。
本当にたくさんのプレイヤーのライブやコンサートを見て、聴いて、体験し、自分の引き出しの中身を磨きに磨きまくったのです。
誰が一流か?ということに関係なく、とにかく色々なプレイヤーの音楽に触れまくりました。すると今まで最高!と思っていたものを超える最高!に巡りあう。そんな感じで自分なりの一流に近づいて行きました。
さて、その結果。。。
例のSaxプレイヤーと数年ぶりにセッションする機械がありました。その時、最初の音出し(8ビートを少し叩いただけ)で言われたのが「音が超変わった!いいドラム叩くね!」でした。
ようやく同じ目線・同じ景色でセッションできたのです。そのセッションが熱く盛り上がり、楽器でお互いを理解し合ったのは言うまでもありません。あの時は本当に嬉しかったなぁ〜(遠い目)。
まとめ
今回は、変な昔話になってしまいました。我慢して最後まで読んでくれた方ありがとうございます!
結局何が言いたかったのか?というと、、、「お手本にするプレイってのは、生で体験しないとダメ!」ということです。さらに!ドラム教室の宣伝だったりもします。「いい演奏をするドラマーに習う」これって大切!
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