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Pearlの定番スティックといえば「110」というシリーズです。
実は私…スティックは「Vic Firth」か「Zildjian」派です。
今までPearlのスティックにはご縁がなかった…というか避けてきた(?)感じで、なんとなくブランドイメージというか、「所有感」がないというか…はい、思いっきり個人の好みです!
でも、自分の愛用アイテムってそんな基準で選ぶよね。(パールさんごめんなさい。。)
で、、、
私の生徒さんは「Pearl 110」を使っている人がなぜか多いです。
これだけ多いってことは「もしかしたら、すごくいいのかな?」と興味が湧いてきましたので、Pearl 110を使ってみることに。
しかーし! いざ110系を集めてみると…
「同じ110なのに、すげー種類が多い。なんじゃこりゃ!」
はい、なんだか110のスティックと言っても色々あるっぽい。
って事で前置きが長くなりましたが、今回は「Pearlの定番スティック 110シリーズの違いはなに?」がテーマです。
ちなみに、スティックの選び方に関してはこちらの記事をご覧ください。
目次
「110」と「5A」との違い
まずは、Pearl 110シリーズ全体について、私がオススメしている初心者向けの定番スティック「5A」との違いについて比較してみます。
基準は110シリーズでは1番標準的な位置づけっぽい「Pearl 110HC」です。
比較対象は、これまた私が絶賛オススメ中の「Vic Firth 5A」です。
サイズの比較
- Vic Firth 5A → 太さ:14.4mm、長さ:407mm
- Pearl 110HC → 太さ:14.5mm、長さ:398mm
はい、こんな感じで微妙に違いますね。
実際に触って叩いた時の感覚の差はどんな感じか?というと、、、
「太さ」の違い・感覚の差
ほんのわずかですがパールの方が「0.1mm」だけ太い。
実際に握ってみると「ちょっと太い?」と感じるくらいに、この0.1mmの違いがわかります。
逆に、Pearl 110をしばらく使った後に、Vic Firth 5Aに持ち替えてみると「あれ、細い!」と感じるくらいです。
0.1mmというと僅かな感じですが、サランラップを2〜3重に巻いたくらいの感覚があります。(ちなみにサランラップの厚みは約0.01mmだそうです)
「長さ」の違い・感覚の差
そして長さに関しては、パールの方が9mm短いです。
この9mmは結構大きいです。実際に触ってみると「うお、短かっ!」と感じるくらいの差があります。
太さに関しては最初の違和感だけですが、短さに関しては普段5Aを使っている人だとしばらくは慣れが必要ですね。
なぜ「398mm」とちょっと短いのか?
なんで398mmなの?ってのは、どうやら「ジェフ・ポーカロ」のシグネチャースティックが始まりのようです。そう、昔のジェフ・ポーカロはパールのスティックを使っていたんですねー。
で、ジェフ・ポーカロの好みの長さ=398mmということで設定して、それを現在も継続しているって感じ。
そう聞くと、110シリーズってのは歴史のある伝統的なシリーズっぽくてナイススティックな気がしてきましたよ。(←単純)
ちなみに、今の「ジェフ・ポーカロ」モデルのスティックは「Regal Tip社の208R-JP」ってモデルです。
サイズも「太さ:14.1mm × 長さ:406mm」と5Aに近い感じになってる…。(どういうことだ?!…謎。)
Pearl 110シリーズの個別比較
…またまた前置きが長くなりましたが、いよいよ110系スティックを個別で比較します。
110シリーズのラインナップは以下の通り。
カッコ書きは色違いとか先端がナイロンチップとかの亜種です。
- 110HC (110HC / 110HBC / 110HC-N / 110HBC-N )
- 110AC (110AC / 110ABC)
- 110HLC
- 110HTC
- 110MC
- 110LH
- 110NH
- STH-110
はい、すげーたくさんある!
でも、よく見ると違いのポイントは少なくて、
- 基本的にサイズは全部一緒。(※「110HLH」だけ例外でちょっと長い)
- 先端のチップの形状も全部一緒
なんですねー。だから、
- 材質
- 表面の質感(ラッカー塗装)
- 色
- チップの材質
の違いだけがポイントです。
では個別に見ていきましょー!
110HC
「110HC」が定番中の定番。基準の位置づけですね。
サイズは110シリーズ共通の「14.5mm x 398mm」です。
材質もこれまた定番の「ヒッコリー」です。
材質の「ヒッコリー」は、ほどよくしなやかで、ほどよい重量。定番の材質といえばヒッコリー。とりあえずヒッコリーにしておけば間違いない!です。
チップの形状はバレル型(樽型)です。これは110シリーズで全部共通です。
塗装・色は「クリア・ラッカー」仕上げ。薄く透明なラッカーが塗ってある感じです。いわゆる普通の塗装(表面の質感)になっています。
この普通の塗装(って言うのかな?)をパールは「クラシックシリーズ」としています。ちなみに、この記事では便意的に「クラシック塗装」という表現にしています。
なので、型番も「ヒッコリーのクラシックシリーズ」ってことで、「110HC」となっている(…と予想しています)。
- サイズ:14.5mm x 398mm
- 材質:ヒッコリー
- チップ:バレル(樽型)
- 塗装・色:クリア・クラシック塗装
※暗記方法:ヒッコリーのクラシック塗装で「HC」。
ってことで、一番標準的で定番となる仕様になっているのが「110HC」ってことですね。
この110HCを基準に他の110シリーズを比較していくとわかりやすいです。
110HCの亜種
110HCから派生した別オプション版がいくつかあります。
110HBC
「110HBC」は、黒いカラーになっているバージョン。
これは結構カッコいい!!
他は110HCと同様です。
- サイズ:14.5mm x 398mm
- 材質:ヒッコリー
- チップ:バレル(樽型)
- 塗装・色:ブラック・クラシック塗装
※暗記方法:ヒッコリーのブラックのクラシック塗装で「HBC」。
110HC-N
「110HC-N」は、チップの材質が「ナイロン」です。
他は110HCと同様です。
ナイロンチップは耐久性が高く、アタックも強調されるので、パワーが求められるドラマーの選択肢に入ります。
ナイロンなので欠ける事はないですが、ごく稀にスポっと抜けてしまいます。
- サイズ:14.5mm x 398mm
- 材質:ヒッコリー
- チップ:バレル(樽型)ナイロンチップ
- 塗装・色:クリア・クラシック塗装
※暗記方法:ヒッコリーのクラシック塗装のナイロンチップで「HC-N」。
110HBC-N
「110HBC-N」は、チップの材質が「ナイロン」かつ「黒い」です。
残念な事に、ナイロンチップは「白」です。これ本当にガッカリ…。
黒いスティックはカッコいいのに、ナイロンが白だから急にお葬式っぽい感じになっちゃう。
ナイロン部分も黒だったり、差し色で使ってる赤にしてくれればいいのに!(パールさんどうでしょう?)
他は110HCと同様です。
- サイズ:14.5mm x 398mm
- 材質:ヒッコリー
- チップ:バレル(樽型)ナイロンチップ
- 塗装・色:ブラック・クラシック塗装
※暗記方法:ヒッコリーのブラックのクラシック塗装のナイロンチップで「HBC-N」。
110AC
はい、お次は「110AC」です。
これは「110HC」の材質が「オーク」になったバージョン。
Oakなのに、なんで「110AC」なんだろう?「110OC」にしたら数字のゼロと混同するからかな?(←適当)
材質がオークってだけで、他は110HCと全く一緒。
- サイズ:14.5mm x 398mm
- 材質:オーク
- チップ:バレル(樽型)
- 塗装・色:クリア・クラシック塗装
材質のオークは「少し堅い感じ」の材質で、個体差もあるけど少し重いです。そのため、パワー系・ロック系に向いています。
※暗記方法:オークのクラシック塗装で「AC」。
110ACの亜種
110ACから派生した別オプション版がいくつかあります。
110ABC
「110ABC」は、110ACの黒バージョン。
他は110ACと同様です。
- サイズ:14.5mm x 398mm
- 材質:ヒッコリー
- チップ:バレル(樽型)
- 塗装・色:ブラック・クラシック塗装
※暗記方法:オークのブラックのクラシック塗装で「ABC」。
110HLC
ついに出ました!HCに「L」が入ったバージョン。「110HLC」の登場です。
110HLCは、110系の中で唯一「サイズが長め」のスティックで、
「14.5mm x 408mm」になっています。
太さや材質などは変わらず、長さだけを「5A」に寄せた感じですね。
ちなみに、Vic Firth 5Aは「14.4mm x 407mm」なので、5Aよりもちょっと太くて長いという男性ホルモン多めな仕様になっています。
- サイズ:14.5mm x 408mm
- 材質:ヒッコリー
- チップ:バレル(樽型)
- 塗装・色:クリア・クラシック塗装
※暗記方法:ヒッコリーのロングなクラシック塗装で「HLC」。
110HTC
今度は、HCに「T」が入ったバージョン。「110HTC」のです。この110HTCは、女性の生徒さんが使っているのをよくみかけます。
さて、この「T」とは何か?というと、おそらく「テーパー加工」の”T”だと思われます。
テーパー加工とは「絞り・先細り」みたいな加工のことで、110HTCは「グリップ部分が少し先細りになっている」のです。
基準の110HCと全く変わらず、「グリップ部分だけテーパー加工」してあるので手の小さい女性にも握りやすい…みたいな意図だと思います。
私も、指が短いのでスティックは細めを使うタイプです。なので、個人的にはテーパー加工は結構好きですね。(最初は違和感たっぷりでしたが…)
- サイズ:14.5mm x 398mm
- 材質:ヒッコリー
- チップ:バレル(樽型)
- 塗装・色:クリア・クラシック塗装
- テーパー加工
※暗記方法:ヒッコリーのテーパー加工のクラシック塗装で「HTC」。
110MC
次は私の好きな材質「メイプル」です。その名も「110MC」
ここまできたら、意味はおわかりだと思います。
そう、「110HC」の材質がメイプルバージョンって事です。
メイプルは軽量です。そして柔らかい感じがします。叩いていてソフトで丸くて柔らかい。おしゃれ感たっぷりなジャンルにはピッタリのスティックです。柔らかいのでハードなロックを叩いたら、音は細いし、すぐにボロボロになりますが、1本は持っておくと楽しいですよ。
材質がメイプルって以外は、110HCと全く同じです。
- サイズ:14.5mm x 398mm
- 材質:メイプル
- チップ:バレル(樽型)
- 塗装・色:クリア・クラシック塗装
※暗記方法:メイプルのクラシック塗装で「MC」。
110LH
今度はヘンテコな型番が出てきました。「110LH」です。
110LHは「塗装(ラッカー)」が違います。
ヘビー・ラッカー・シリーズというやつで、表面の塗装(ラッカー)を少し厚めに塗りたくっているバージョン。
サイズ等の基本仕様は「110HC」と全く同じだけど、ラッカー(ニスみたいなやつ?)を塗りまくっています。後述しますが、これは手が乾燥する人にオススメです。
- サイズ:14.5mm x 398mm
- 材質:ヒッコリー
- チップ:バレル(樽型)
- 塗装・色:クリア・ヘビーラッカー塗装
※暗記方法:ラッカー増量のヒッコリーで「LH」。(法則が微妙に変わってわかりにくい…)
ラッカーは「手汗タイプ」「乾燥タイプ」によって合う合わないがある
スティックが滑るのは色々な理由がありますが、大きな原因の1つに「手汗」と「手の乾燥」があります。
「手汗をかくタイプ」は、ラッカーに弱いです。逆にツルツル滑ります。
逆に「手が乾燥してビニールも開けられない」というタイプは「ラッカー」との相性バツグンです。
私は「乾燥タイプ」なので、ラッカー大好き。ラッカーがマシマシになっているとフィット感がグンと上がるのです。
各自の「手のタイプ」によって、チョイスしてください。
110NH
またヘンテコ型番。今度は「110NH」です。
110NHも「塗装(ラッカー)」が違います。
先の「110LH」は「ヘビー・ラッカー」だったのに対して、「110NH」は「ラッカー抜き」です。ラッカー抜きってことは「そのままの木」ってことで、ナチュラルの”N”と推測。
サイズ等の基本仕様は「110HC」と全く同じで、ラッカー抜きのバージョン。
ラッカー無しは、無垢の質感でザラザラしているけど、フィット感はサラサラしています。(なんのこっちゃ?って感じですが、木材に紙やすりをかけた状態みたいなイメージです。)
でもって、これは「手汗を書く人」にはかなり嬉しいです。手汗をかくとラッカーが滑る感じがしますが、ラッカー抜きは木が汗吸ってる感じで滑らないのだとか。(私は手汗をかかないので実感なし…)
- サイズ:14.5mm x 398mm
- 材質:ヒッコリー
- チップ:バレル(樽型)
- 塗装・色:クリア・ナチュラル
※暗記方法:ナチュラルのヒッコリーで「NH」。
STH-110
いよいよ最後です。「STH-110」の登場です。
これは急に型番が変わった感じになっていますが、パールの「スタンダード・ヒッコリー・シリーズ」ってやつです。
サイズも材質も何もかも「110HC」と同じ。
何が違うのか?というと、北米産ヒッコリーを使ってアメリカ生産ってこと。Made in アメリカなスティックなのです。
- サイズ:14.5mm x 398mm
- 材質:ヒッコリー
- チップ:バレル(樽型)
- 塗装・色:クリア・不明(たぶんクラシック塗装とほぼ一緒の質感?)
- 北米産ヒッコリーでアメリカ生産
「STH-110」に関しては、私も現物を見たことがないので何とも言えません。
基本的には「110HC」と同じだと思います。
ただ、写真を見る限り「ロゴがダサい…」と思ったり思わなかったり…。
まあ、これを使うんだったら普通に「110HC」か「Vic Firth 5A」を使と思うんだけど、どうなんだろ?
今度見かけたら触りまくってみます。
110シリーズのオススメ(個人的な感想)
最後に、実際に色々と使ってみた感想です。
ちなみに、普段は「Vic Firth 5A」「Vic Firth 85A」「Zildjian ASDC デニス・チェンバース モデル」を使っていますので、それらを使っている人が「110系」を使ったみた…という、あくまで個人の感想ですよ。
110HC
まず、基準の「110HC」ですが、とても「振りやすいスティック」です。
私はスティックの先端に重み・遠心力を感じるのが好きなのですが、110HCはちょっと短い事もあって先端ではなく「スティックの真ん中あたり」に重みを感じるので、普段110HCよりも長い「5A」を使っていると最初は気持ちが悪い。
スティックを持たずにエアーで叩いてる感じ…というのかな?少し「振ってる感」が無いです。
ですが、細かいフレーズはすごく振りやすい。振り上げの初速が速いような感覚があります。スティックって振り下ろすよりも「振り上げ」が重要なんですよ。ちゃんと振り上げれば、おのずと振り下ろしもいい感じになるのです。
逆に振り下ろしの時には遠心力を感じない。
なので、ロック系のパワーが必要なジャンルではなく、ポップス的な方が向いている気がしますね。ブンブン大振りするんじゃなくて、蝶のように舞い蜂のように刺す!…みたいな感じが丁度よいです。
ゴリゴリのヘビーなロックには向かないけど、そこそこオールジャンルにいけると思います。
ただ、最初のスティックとしてはもしかするとクセが強いかも?と思います。110HCに慣れちゃうと、他のスティックが重たく感じるかもしれません。
実際、110HCを使っている生徒さんに「5A」を持たせたら「重くて振れない」と言っていました。
ちなみに、私は「手が乾燥するタイプ」なのでラッカーを塗りまくったタイプの「110LH」を使っています。
慣れてくるとすごく振りやすくて良いです!すっかりレギュラーメンバー入りしちゃいました。
110HLC
じゃ、5Aに寄せた長めの「110HLC」はどうか?というと、今度は逆に長さを感じすぎるかな?と思います。ブンブン振り回されちゃう感じ。
パワー系のハードヒットをするジャンルであれば、すごくよいですね。
まあ、普通に定番の「5A」でもいいかも。
110HTC
予想外に良かったのがテーパー加工がしてある「110HTC」。振った時のバランスが結構良いです。
ただし、軽めのスティックなので要注意ですね。
あまり軽すぎるスティックに慣れちゃうと、他のスティックを持った時に「重た!」って感じになります。
手の小さい方、非力な方でもバランスが良いので振りやすい。繊細で爽やかな演奏をする時に出撃さたいスティックですね。
110AC
オーク素材の110ACも良いです。
材質とスティックのバランスが好みに合うのか、とても振りやすいですね。
ヒッコリーの110HCよりも、オークの110ACの方が振った感があって好きです。まあ、スティックの重さ(個体差)との兼ね合いもあるのかもしれませんが、ロックを叩く時には出撃させたいです。
110系の惜しいところ
色々と比較してきましたが、その中で惜しい!と思うのは「チップの形状」が全部一緒!ってことですね。
チップの形状でサウンドがかなり変わるから、長さや材質のバリエーションよりも「チップ形状」のバリエーションを優先して欲しかったなぁ…。
スティックで上手くなるのか?
色々と比較してきましたが、「スティックを変えれば上手くなるの?」というと、それは微妙です。
スティックを変えて改善される例としては、「重さとか長さが体型に合っていなかった」というケースです。
この場合は、スティックを変えたらだんだん良くなってきた…という事もあり得ます。
とはいえ、大半はスティックを変えても急に上手くはなりません。急に速く叩けたり、急に難解なフレーズが叩けるようになるわけないです。(当たり前ですね。)
でも、スティックによって「振った時のバランス」や「バウンドの感じ」が全然違うので、今まで「振った感覚が無い」とか「振った時に重すぎる」みたいな違和感がある場合は、スティックを変えることで、「あ、なんか今までよりも良いフィーリング〜!」と急に視界が開く(コツがつかめる)事もあり得ます。
…という事で、Pearlのスティック「110シリーズ」の比較でした!
スティックを色々と試してみると楽しいですよ。そしてスティック沼にハマってください!
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