バンド練習をしていると、こんな会話に遭遇したことはないですか?

「あ、サビはクッて入るよ」
「そこは、8分でくうパターンだよ」
「ここのブレイクは最後は16分のくいで」

はい。今回の用語は「くい」です。

「くい」とは、拍の裏にアタックが入ること。

拍の裏って何かというと…
通常「1、2、3、4」と拍の”表”でカウントをとります。
それに対して拍の裏とは「1と2と3と4と」の様に、「と」の部分を”裏”といいます。

リズムの表と裏

☞【関連用語】“リズムの表・裏”とは

さて…
本題の「くい」は、そのリズムの「裏」にアタック(アクセント)が入った場所を指します。

言葉で聞くと、なんのこっちゃ!? …ということで実例を。

「クイ」のリズム

クイのリズム・パターン
※音源はこちら↓

はい。4拍目の裏(8分音符)が「くって」います。

この様に、裏にアクセントが入ることを「くってる」と表現します。

「くい気味に突っ込まれた!」とか、「くい気味に否定した!」みたいな表現をするけど、それとイメージは同じですね。

では、もっと色々なリズム・パターンで見ていきましょう!

例1:16分音符の裏で「くっている」リズムパターン

クイのリズム・パターン例:16分音符で食うパターン
※音源はこちら↓

「くっている」リズムは8分音符だけではありません。16分音符の裏で「くっている」と鋭い感じになりますね。

例2:「くい」から始まるパターン

クイのリズム・パターン例:曲の始まりがクッてるパターン
※音源はこちら↓

曲の始めや、ブレイク(演奏をピタっと止める場所)の後に「くって」始まるパターンはよくありますね。

例3:フィルの最後が「くっている」パターン

クイのリズム例:フィルインの後に食うパターン
※音源はこちら↓

「くう」前にフィルを入れて、そのフィルの流れで「くう」パターンは王道ですね。

例4:いろいろ「くいまくっている」パターン

クイのリズム・パターン例:くいまくってるキメの多いパターン
※音源はこちら↓

「くう」のは小節の最後だけではありません。色々な場所で「くいまくっている」複合パターン。

「くい」の用例

「くい」は、バンドの会話の中で様々な言い方をします。

  • くい
  • くう
  • くってる
  • くいまくり

会話の流れで、適切な表現をしましょう。

こう使えば「くい」マスター!

例1:
「サビ頭(あたま)の”くう”所、みんなバラバラだよね。もっと合わせようぜ!」

解説:
サビとは、楽曲の一番盛り上がる(気持ちの高ぶる)場所。
その「頭(あたま)=サビの入り口」が”くって”いる状況での会話です。

サビの入口で、メンバー全員がクッて入る。そこのリズムがバラバラで全然合ってないから、みんなちゃんと合わせて(正確なリズム、気持ちを一つにして)演奏しようよ!
というニュアンスになります。

例2:
「バスドラムのクッてる所、ベースも一緒にクッた方がいいよね。」

解説:
バスドラムのパターンが「くってる」パターンってよくあります。

その「くい」の部分と、ベースライン(ベースのフレーズ)がキッチリ合うと、かなり気持ちいいグルーヴになります。

上記例では、「お〜いベースさん! バスドラムと合わせて弾いてくれないと気持ち悪いっす!」という気持ちをオブラートに包んだ「大人な表現」になります。

例3:
「ここのキメ、くいまくってるな〜」

解説:
「キメ」とは、みんなでリズムを合わせる所を指します。
サビの前とかで、みんなで「ダダッダ ダンッ ダンッ」みたいにリズムを合わせて盛り上げることがよくあります。それを「キメ」といいます。

そのキメが、「くい」のオンパレードっていうニュアンスです。
クイが多いと、演奏の難易度も上がりがち。それだけバンドのサウンドがバラバラになります。

応用編として、「この”くいまくってる”キメ、気持ちいいよね。」があります。
これをサラッと言うには、「難易度たけ〜!まぁ俺は平気だけどね。みんなもキッチリ合わせてくれないとカッコ悪いぜ…」というニュアンスを含ませた、上から目線のキャラを憑依させるのがコツです。

実際にどう演奏しているか?

さて、実際の曲でも聴いてみましょう。ということで「くってる動画(?!)」の紹介。

“Beat It” / Michael Jackson

くってるといえば…マイケル・ジャクソンの『Beat It』でしょう!

0:45秒くらいから生ドラムが入ります。もちろん「ジェフ・ポーカロ」さんです。

フィルからの「くい」になっていて、バンド全体もくって入っています。
ギターのリフもガッツリ「くってる」パターンですね。

ポイントは、ギターは「くっているパターン」だけど、ドラムは最初以外はほとんど「くっていない」。
これが逆にカッコいいのです!(ダンスビート感がバッチリでてます。)

そして「ここだ!って所だけ”くってる”」のが渋い!
歌を邪魔せず、ここ!って所に最低限のアクセント。このセンスは勉強になりますわ。

ちなみに、ギタリストはもちろん「スティーブ・ルカサー」さん。
さらにギターソロは…あの「エディ・ヴァン・ヘイレン」さんです!

これだけでも、聴く価値ありな名曲ですわ。

“Plush” / Stone Temple Pilots

欲張ってもう一つ。ストーン・テンプル・パイロッツの『Plush』です。

色々くってます。
…が、バスドラムだけで”くう”パターンであったり、サビではシンバルでアクセントを入れた「くい」になっていたり、色々と勉強になります。

曲調も「重モッサリ(?)」な感じ。

この「ダルいけどダラけていない、でもちょっぴりタイト感があるグルーヴ」
これが難しい!!

まとめ

「くう」パターンは、きっちりリズムが合っていないと「下手に聞こえる」ことが多いです。(それだけ真価が問われるってことですね)

さらに、バンド全体で「くっている」ことも多い。そこもやっぱり「バンドがバラバラになる」ことが多いです。

何気なく使っている「くい」ですが、しっかりと意識して「大胆かつ繊細な”くいっぷり”」を目指しましょう!

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