バンド練習をしていると、こんな会話に遭遇したことはないですか?
「そこは、8分でくうパターンだよ」
「ここのブレイクは最後は16分のくいで」
はい。今回の用語は「くい」です。
「くい」とは、拍の裏にアタックが入ること。
拍の裏って何かというと…
通常「1、2、3、4」と拍の”表”でカウントをとります。
それに対して拍の裏とは「1と2と3と4と」の様に、「と」の部分を”裏”といいます。
さて…
本題の「くい」は、そのリズムの「裏」にアタック(アクセント)が入った場所を指します。
言葉で聞くと、なんのこっちゃ!? …ということで実例を。
目次
「クイ」のリズム
※音源はこちら↓
はい。4拍目の裏(8分音符)が「くって」います。
この様に、裏にアクセントが入ることを「くってる」と表現します。
「くい気味に突っ込まれた!」とか、「くい気味に否定した!」みたいな表現をするけど、それとイメージは同じですね。
では、もっと色々なリズム・パターンで見ていきましょう!
例1:16分音符の裏で「くっている」リズムパターン
※音源はこちら↓
「くっている」リズムは8分音符だけではありません。16分音符の裏で「くっている」と鋭い感じになりますね。
例2:「くい」から始まるパターン
※音源はこちら↓
曲の始めや、ブレイク(演奏をピタっと止める場所)の後に「くって」始まるパターンはよくありますね。
例3:フィルの最後が「くっている」パターン
※音源はこちら↓
「くう」前にフィルを入れて、そのフィルの流れで「くう」パターンは王道ですね。
例4:いろいろ「くいまくっている」パターン
※音源はこちら↓
「くう」のは小節の最後だけではありません。色々な場所で「くいまくっている」複合パターン。
「くい」の用例
「くい」は、バンドの会話の中で様々な言い方をします。
- くい
- くう
- くってる
- くいまくり
会話の流れで、適切な表現をしましょう。
こう使えば「くい」マスター!
「サビ頭(あたま)の”くう”所、みんなバラバラだよね。もっと合わせようぜ!」
解説:
サビとは、楽曲の一番盛り上がる(気持ちの高ぶる)場所。
その「頭(あたま)=サビの入り口」が”くって”いる状況での会話です。
サビの入口で、メンバー全員がクッて入る。そこのリズムがバラバラで全然合ってないから、みんなちゃんと合わせて(正確なリズム、気持ちを一つにして)演奏しようよ!
というニュアンスになります。
「バスドラムのクッてる所、ベースも一緒にクッた方がいいよね。」
解説:
バスドラムのパターンが「くってる」パターンってよくあります。
その「くい」の部分と、ベースライン(ベースのフレーズ)がキッチリ合うと、かなり気持ちいいグルーヴになります。
上記例では、「お〜いベースさん! バスドラムと合わせて弾いてくれないと気持ち悪いっす!」という気持ちをオブラートに包んだ「大人な表現」になります。
「ここのキメ、くいまくってるな〜」
解説:
「キメ」とは、みんなでリズムを合わせる所を指します。
サビの前とかで、みんなで「ダダッダ ダンッ ダンッ」みたいにリズムを合わせて盛り上げることがよくあります。それを「キメ」といいます。
そのキメが、「くい」のオンパレードっていうニュアンスです。
クイが多いと、演奏の難易度も上がりがち。それだけバンドのサウンドがバラバラになります。
応用編として、「この”くいまくってる”キメ、気持ちいいよね。」があります。
これをサラッと言うには、「難易度たけ〜!まぁ俺は平気だけどね。みんなもキッチリ合わせてくれないとカッコ悪いぜ…」というニュアンスを含ませた、上から目線のキャラを憑依させるのがコツです。
実際にどう演奏しているか?
さて、実際の曲でも聴いてみましょう。ということで「くってる動画(?!)」の紹介。
“Beat It” / Michael Jackson
くってるといえば…マイケル・ジャクソンの『Beat It』でしょう!
0:45秒くらいから生ドラムが入ります。もちろん「ジェフ・ポーカロ」さんです。
フィルからの「くい」になっていて、バンド全体もくって入っています。
ギターのリフもガッツリ「くってる」パターンですね。
ポイントは、ギターは「くっているパターン」だけど、ドラムは最初以外はほとんど「くっていない」。
これが逆にカッコいいのです!(ダンスビート感がバッチリでてます。)
そして「ここだ!って所だけ”くってる”」のが渋い!
歌を邪魔せず、ここ!って所に最低限のアクセント。このセンスは勉強になりますわ。
ちなみに、ギタリストはもちろん「スティーブ・ルカサー」さん。
さらにギターソロは…あの「エディ・ヴァン・ヘイレン」さんです!
これだけでも、聴く価値ありな名曲ですわ。
“Plush” / Stone Temple Pilots
欲張ってもう一つ。ストーン・テンプル・パイロッツの『Plush』です。
色々くってます。
…が、バスドラムだけで”くう”パターンであったり、サビではシンバルでアクセントを入れた「くい」になっていたり、色々と勉強になります。
曲調も「重モッサリ(?)」な感じ。
この「ダルいけどダラけていない、でもちょっぴりタイト感があるグルーヴ」
これが難しい!!
まとめ
「くう」パターンは、きっちりリズムが合っていないと「下手に聞こえる」ことが多いです。(それだけ真価が問われるってことですね)
さらに、バンド全体で「くっている」ことも多い。そこもやっぱり「バンドがバラバラになる」ことが多いです。
何気なく使っている「くい」ですが、しっかりと意識して「大胆かつ繊細な”くいっぷり”」を目指しましょう!
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